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エストロゲン受容体の多才な能力

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Estrogen Receptor Versatility

Editor's Choice

Sci. Signal., 27 July 2010
Vol. 3, Issue 132, p. ec225
[DOI: 10.1126/scisignal.3132ec225]

L. Bryan Ray

Science, Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

エストロゲン受容体α(ERα)は古典的なリガンド活性化転写因子の一つであり、生殖、骨生理やその他の機能に対する生理作用をもつことが広く知ら れている。Vivarらは、ERαと類似した分子のエストロゲン受容体βの遺伝子調節活性について調べた。ERβは、抗増殖および抗炎症のようにきわめて 明確な生物学的作用を有するが、ERαほどは特徴が明らかになっていない。著者らは、ERβ依存性の遺伝子発現の特徴を明らかにするために、ヒト骨肉腫細 胞株U2OSにおけるマイクロアレイ解析を用いた。細胞がエストロゲンに曝露されたときにのみ遺伝子発現を調節するERαの作用とは異なり、ERβの発現 を誘導するだけで(リガンドを加えなくとも)、何百という遺伝子(453遺伝子)が調節された。ERβがリガンドに結合したときに初めて応答する転写産物 もあったが、これは比較的少数のサブセット(258遺伝子)であった。さらに少数のサブセットの遺伝子(83遺伝子)は、未結合受容体による調節を受ける が、エストロゲンの存在下ではその作用が増強された。さらに、この3クラスの応答性遺伝子の各例に対するERβ結合について解析したところ、ERβは全3 クラスの遺伝子に結合したことから、受容体の結合の違いが応答性の主な決定因子ではないことが明らかになった。クロマチン免疫沈降法と配列決定によって ERβ結合部位に隣接する結合部位について解析したところ、この3クラスの遺伝子には個々の転写因子結合部位が豊富に含まれることが示された。以上により 著者らは、主に単一クラスの応答性遺伝子をもち、調節にはリガンド活性化受容体を必要とするERαとは異なり、ERβには3クラスの応答性遺伝子があると 結論付けた。これら遺伝子クラスの異なる調節は、他の転写因子やコアクチベーターとERβの相互作用に依存するようである。

O. I. Vivar, X. Zhao, E. F. Saunier, C. Griffin, O. S. Mayba, M. Tagliaferri, I. Cohen, T. P. Speed, D. C. Leitman, Estrogen receptor β binds to and regulates three distinct classes of target genes. J. Biol. Chem. 285, 22059-22066 (2010). [Abstract] [Full Text] 

L. B. Ray, Estrogen Receptor Versatility. Sci. Signal. 3, ec225 (2010).

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2010年7月27日号

Editor's Choice

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エストロゲン受容体の多才な能力

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