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雌ショウジョウバエの生殖系列幹細胞は、ニッチ内のDPP機能を空間的に制限するように働く

The Drosophila Female Germline Stem Cell Lineage Acts to Spatially Restrict DPP Function Within the Niche

Research Article

Sci. Signal., 27 July 2010
Vol. 3, Issue 132, p. ra57
[DOI: 10.1126/scisignal.2000740]

Ming Liu1,2, Tit Meng Lim2, and Yu Cai1,2*

1 Temasek Life Sciences Laboratory, National University of Singapore, Singapore 117604, Singapore.
2 Department of Biological Sciences, National University of Singapore, Singapore 117543, Singapore.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: caiyu@tll.org.sg

要約:幹細胞の維持には、空間的に限定されたニッチ関連シグナルが必要である。雌ショウジョ ウバエの生殖系列幹細胞(GSC)のニッチでは、デカペンタプレジック(Decapentaplegic:DPP)が主要なニッチ関連因子であり、狭い範 囲で機能して、GSCの分化ではなく自己再生を促進する。今回われわれは、GSC系列と、より厳密には幹細胞自体が、周囲の体細胞において上皮増殖因子受 容体(EGFR)-マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達を活性化させることによって、DPP機能の空間的制限に関与しているこ とを示す。体細胞のEGFR-MAPKシグナル伝達は、DPPの移動や安定性にとって必要なグリピカンをコードするdallyの発現を 抑制した。結果として、DPP源(ニッチ中の体細胞)に近いGSCだけが高いシグナル活性化を示し、幹細胞として維持されたのに対して、ニッチ外のシスト ブラストは低いシグナル活性化を示し、分化を開始した。このように、われわれのデータから、GSCと体細胞の間の相互のクロストークがDPP活性の空間的 限界を決定し、その結果、GSCニッチの範囲を定めることが明らかになる。

M. Liu, T. M. Lim, Y. Cai, The Drosophila Female Germline Stem Cell Lineage Acts to Spatially Restrict DPP Function Within the Niche. Sci. Signal. 3, ra57 (2010).

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2010年7月27日号

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