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GPCRシグナル伝達
ストレスによるDNAの破断

GPCR Signaling
Stress Fractures in DNA

Editor's Choice

Sci. Signal., 20 September 2011
Vol. 4, Issue 191, p. ec258
[DOI: 10.1126/scisignal.4191ec258]

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

カテコールアミン系のアドレナリンとノルアドレナリンは、β2-アドレナリン 受容体などのアドレナリン受容体を活性化することによって、「闘争・逃走」反応の引き金となる。しかし、長時間のアドレナリン刺激は様々な生理的悪影響を 引き起こすことがあり、疫学研究によって慢性ストレスがDNA損傷に関連付けられている。長時間のアドレナリン刺激がDNA損傷を引き起こす機構について 調べるために、Haraらは、β2-アドレナリン受容体アゴニストのイソプロテレノールをマウスに4週間注射して、慢性ストレスを 刺激した。イソプロテレノールを投与されたマウスの胸腺では、DNA損傷マーカーであるヒストンH2AX(γ-H2AX)のリン酸化が亢進し、ストレスに 対する細胞応答の際に機能する転写因子p53量が減少していた。同様に、検出されるアドレナリン受容体がβ2-アドレナリン受容体のみであるU2OS細胞では、イソプロテレノール処理によってp53量の減少していた。この応答は、細胞をβ2-アドレナリン受容体アンタゴニストであるICI 118,551で前もってインキュベートすることによって減弱した。イソプロテレノールの注入によって、野生型マウスの小脳ではDNA損傷が生じたが、β2-アドレナリン受容体をコードする遺伝子を欠損するマウス(Adrb2-/-マ ウス)ではDNA損傷は生じなかった。ユビキチンリガーゼのMdm2は、p53をプロテアソームで分解されるようにし、さらにイソプロテレノールは、β- アレスチン1、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)とキナーゼAKTを必要とする経路を介してMdm2のリン酸化と活性化を促進した。β-アレスチ ン1は、核内でp53と相互作用し、イソプロテレノール刺激後のp53とMdm2の相互作用の亢進に必要なようであった。β-アレスチン1を欠損する(Arrb1-/-)マウスの胚性線維芽細胞(MEF)は、野生型MEFに比べてγ-H2AXフォーカス数が少なく、p53量が増大していた。また、Arrb1-/-マウスはイソプロテレノール注入によって誘発されるDNA損傷(γ-H2AXの量と染色体再構築の数によって示される)とp53量減少から保護されていた。このように、慢性ストレスは、β2-アドレナリン受容体を介するβ-アレスチン1依存性経路の活性化によって、DNA損傷とp53量減少を引き起こすと考えられる。

M. R. Hara, J. J. Kovacs, E. J. Whalen, S. Rajagopal, R. T. Strachan, W. Grant, A. J. Towers, B. Williams, C. M. Lam, K. Xiao, S. K. Shenoy, S. G. Gregory, S. Ahn, D. R. Duckett, R. J. Lefkowitz, A stress response pathway regulates DNA damage through β2-adrenoreceptors and β-arrestin-1. Nature 477, 349?353 (2011). [PubMed]

W. Wong, Stress Fractures in DNA. Sci. Signal. 4, ec258 (2011).

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