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Shigella flexneriの感染は脂質PI5Pの産生を促し、エンドサイトーシスを変化させてEGFRのシグナル伝達の終結を妨げる

Shigella flexneri Infection Generates the Lipid PI5P to Alter Endocytosis and Prevent Termination of EGFR Signaling

Research Article

Sci. Signal., 20 September 2011
Vol. 4, Issue 191, p. ra61
[DOI: 10.1126/scisignal.2001619]

Damien Ramel1, Frederic Lagarrigue1, Veronique Pons1, Joelle Mounier2, Sophie Dupuis-Coronas1, Gaetan Chicanne1, Philippe J. Sansonetti2,3, Frederique Gaits-Iacovoni1*, Helene Tronchere1*, and Bernard Payrastre1*†

1 INSERM, U1048, Universite Toulouse 3, I2MC and Hopital de Toulouse, Avenue Jean Poulhes BP84225, 31432 Toulouse Cedex 04, France.
2 INSERM, U786, Unite de Pathogenie Microbienne Moleculaire, Institut Pasteur, 75724 Paris, France.
3 Departement de Microbiologie et Maladies Infectieuses, College de France, 75005 Paris, France.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: bernard.payrastre@inserm.fr

要約:生存や運動性、輸送に関係する細胞内の過程を調節するホスホイノシチド代謝経路は、しばしば病原性細菌によって破壊される。赤痢を引き起こす細菌のShigella flexneriは、 IpgDタンパク質(ホスファチジルイノシトール5リン酸(PI5P)を産生するホスホイノシチドホスファターゼ)を宿主細胞内に注入し、それによってホ スホイノシチド3キナーゼ-Akt生存経路を活性化する。われわれは、感染したHela細胞やIpgDを異所性に発現する細胞で、上皮増殖因子受容体 (EGFR)がAktのPI5P依存的活性化に必要であることを示す。PI5Pで処理した細胞では、活性化されたEGFRを含む初期エンドソームが増加す る一方で、後期エンドソームやリソソームのコンパートメントにはEGFRは検出されず、EGFRシグナル伝達が延長した。エンドソームを介するリサイクリ ングや逆行輸送経路は残されていたので、PI5Pの作用はエンドサイトーシスの後期のコンパートメントへ向かう分解経路に対して特異的であることが示唆さ れる。このように、われわれは、エンドソームに豊富であり、リソソーム分解を損なうこと(S. flexneriによって利用され、宿主細胞の生存にとって都合の良い性質)によって増殖因子受容体のシグナル伝達を変化させる小胞輸送の調節因子としてPI5Pを同定した。

D. Ramel, F. Lagarrigue, V. Pons, J. Mounier, S. Dupuis-Coronas, G. Chicanne, P. J. Sansonetti, F. Gaits-Iacovoni, H. Tronchere, B. Payrastre, Shigella flexneri Infection Generates the Lipid PI5P to Alter Endocytosis and Prevent Termination of EGFR Signaling. Sci. Signal. 4, ra61 (2011)

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