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生理学
iNKT細胞が肥満を軽減する

Physiology
iNKT Cells Reduce Obesity

Editors' Choice

Sci. Signal., 25 September 2012
Vol. 5, Issue 243, p. ec249
[DOI: 10.1126/scisignal.2003632]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

L. Lynch, M. Nowak, B. Varghese, J. Clark, A. E. Hogan, V. Toxavidis, S. P. Balk, D. O'Shea, C. O'Farrelly, M. A. Exley, Adipose tissue invariant NKT cells protect against diet-induced obesity and metabolic disorder through regulatory cytokine production. Immunity 37, 574-587 (2012). [PubMed]

J. R. Lukens, T.-D. Kanneganti, Fat chance: Not much against NKT cells. Immunity 37, 447-449 (2012). [Online Journal]

インバリアントナチュラルキラーT(invariant natural killer T:iNKT)細胞は、自然免疫応答の一部として機能するリンパ球のサブセットである。iNKT細胞はα-ガラクトシルセラミド(alpha-galactocylceramide:αGC)などの脂質抗原に対して応答し、炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインの両方を産生することがある(LukensとKannegantiによる解説参照)。iNKT細胞はヒト脂肪組織に豊富に存在するが、その量は肥満度の増大に伴って減少することを示した初期の研究について追跡して調べることによって、Lynchらは、iNKT細胞はマウスでも脂肪細胞に豊富に存在しており、その数は高脂肪食を与えられたマウスでは標準食を与えられたマウスよりも減少することを示した。iNKT細胞を欠損するマウスは、高脂肪食を与えられたときに、より多く食べたわけでもないのに、野生型マウスに比べて大きな体重増加を示し、血中グルコース濃度の上昇とインスリン感受性の低下を示した。野生型マウスの脂肪組織中の炎症性マクロファージの数は肥満発症の際に増加し、iNKT細胞の存在数と逆の相関を示した。iNKT細胞を肥満iNKT細胞欠損マウスに移植すると、体重が減少し、iNKT細胞の移植を受けていないiNKT細胞欠損マウスに比べて脂肪細胞のサイズも減少した。αGCを注射された肥満野生型マウスは体重減少を示し、同様にαGCを注射された肥満iNKT細胞欠損マウスに比べて脂肪細胞のサイズが小さかった。αGCで処置すると、脂肪組織中のiNKT細胞数と抗炎症性サイトカイン量が増加した。まとめると、これらのデータは、iNKT細胞が脂肪組織の炎症を抑制することによって、食事により誘導される肥満を予防することを示唆しており、iNKT細胞を標的とする療法を肥満治療に使用できる可能性を提起している。

J. F. Foley, iNKT Cells Reduce Obesity. Sci. Signal. 5, ec249 (2012).

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