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マクロファージにおけるリポ多糖シグナル伝達を阻害するにはアダプタータンパク質DOK3とDAP12の物理的相互作用が必要

A Physical Interaction Between the Adaptor Proteins DOK3 and DAP12 Is Required to Inhibit Lipopolysaccharide Signaling in Macrophages

Research Article

Sci. Signal., 20 August 2013
Vol. 6, Issue 289, p. ra72
[DOI: 10.1126/scisignal.2003801]

Qisheng Peng1*, Courtney L. Long2*, Shikha Malhotra2,3, and Mary Beth Humphrey2,4†

1 Key Laboratory for Zoonosis Research, Ministry of Education, Jilin University, Changchun 130062, China.
2 Department of Medicine, University of Oklahoma Health Sciences Center, Oklahoma City, OK 73104, USA.
3 Gentrac Life Biotechnology, New Delhi 110024, India.
4 Department of Veterans Affairs, Oklahoma City, OK 73104, USA.

* These authors contributed equally to this work.

† Corresponding author. E-mail: marybeth-humphrey@ouhsc.edu

要約

12 kDのDNAX活性化タンパク質(DAP12)は、骨髄細胞やナチュラルキラー細胞に存在する免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むアダプタータンパク質で、細胞活性化または阻害を媒介する各種受容体と結合する。DAP12は、細胞膜でTREM2(骨髄細胞上に発現するトリガー受容体2)と結合することによりサイトカイン応答やリガンドであるリポ多糖(LPS)の刺激に対するTLR4シグナル伝達などのToll様受容体(TLR)シグナル伝達を阻害する。炎症性疾患の治療法の開発には、マクロファージにおける炎症反応阻害メカニズムを理解することが重要である。本稿では、DAP12によるLPS応答の阻害がアダプタータンパク質DOK3(キナーゼ3の下流)によって媒介されることを示す。DOK3はリン酸化チロシン結合ドメインを介してDAP12のITAMと物理的に会合した。DOK3はLPS刺激によってDAP12およびSrc依存的にリン酸化され、リン酸化DOK3は細胞膜に移行した。DOK3欠損細胞では、炎症性サイトカインの産生および細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)の活性化が亢進していた。DOK3欠損マウスでは、野生型マウスに比べて、致死未満量のLPSの接種に対する感受性および炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNF-α)の血清中濃度が高かった。これらの知見から、DAP12およびTREM2がマクロファージにおいてLPSシグナル伝達を阻害し、炎症を予防するメカニズムが示唆される。

Q. Peng, C. L. Long, S. Malhotra, M. B. Humphrey, A Physical Interaction Between the Adaptor Proteins DOK3 and DAP12 Is Required to Inhibit Lipopolysaccharide Signaling in Macrophages. Sci. Signal. 6, ra72 (2013).

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