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母体の高血糖は胎児期神経管異常を導くASK1–FoxO3a–カスパーゼ8経路を活性化する

Maternal Hyperglycemia Activates an ASK1–FoxO3a–Caspase 8 Pathway That Leads to Embryonic Neural Tube Defects

Research Article

Sci. Signal., 27 August 2013
Vol. 6, Issue 290, p. ra74
[DOI: 10.1126/scisignal.2004020]

Peixin Yang1,2*, Xuezheng Li1, Cheng Xu1, Richard L. Eckert2, E. Albert Reece1,2, Horst Ronald Zielke3, and Fang Wang1

1 Department of Obstetrics, Gynecology and Reproductive Sciences, University of Maryland School of Medicine, Baltimore, MD 21201, USA.
2 Department of Biochemistry & Molecular Biology, University of Maryland School of Medicine, Baltimore, MD 21201, USA.
3 Department of Pediatrics, University of Maryland School of Medicine, Baltimore, MD 21201, USA.

* Corresponding author. E-mail: pyang@fpi.umaryland.edu

要約

神経管異常は、発生過程の神経管閉鎖不全に起因する。母体の糖尿病は神経管異常の実質的な危険因子であり、これまでの事実は、高血糖を神経管異常に結びつける機構が酸化ストレスおよびアポトーシスに関与することを示唆している。われわれは、母体の高血糖が発生中の神経管におけるアポトーシスシグナル調節キナーゼ1(ASK1)の活性化と相関し、Ask1遺伝子の欠損が神経上皮細胞のアポトーシスおよび神経管異常の発生の減少と関係することを示した。ASK1の活性化は転写因子FoxO3aの活性を刺激し、それがアポトーシス促進アダプタータンパク質TRADDの存在量を増やし、カスパーゼ8の活性化を導いていた。FoxO3aあるいはCasp8の遺伝学的除去あるいはチオレドキシンによるASK1の阻害によって、高血糖により誘導されるアポトーシスおよび神経管異常の発生が減少した。ヒトの神経管異常を発症した神経組織を調べると、ASK1、FoxO3a、TRADDおよびカスパーゼ8の活性化あるいは存在量の増加が明らかとなった。このように、ASK1-FoxO3a-TRADD-カスパーゼ8経路の活性化は神経管異常の発生に関係し、このカスケードの中間体の阻害により予防しうる。

P. Yang, X. Li, C. Xu, R. L. Eckert, E. A. Reece, H. R. Zielke, F. Wang, Maternal Hyperglycemia Activates an ASK1-FoxO3a-Caspase 8 Pathway That Leads to Embryonic Neural Tube Defects. Sci. Signal. 6, ra74 (2013).

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