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O-GlcNAcグリコシル化によるNF-κBタンパク質c-Relの転写機能の活性化

Activation of the Transcriptional Function of the NF-κB Protein c-Rel by O-GlcNAc Glycosylation

Research Article

Sci. Signal., 27 August 2013
Vol. 6, Issue 290, p. ra75
[DOI: 10.1126/scisignal.2004097]

Parameswaran Ramakrishnan1*, Peter M. Clark2, Daniel E. Mason3, Eric C. Peters3, Linda C. Hsieh-Wilson2, and David Baltimore1†

1 Division of Biology, California Institute of Technology, Pasadena, CA 91125, USA.
2 Division of Chemistry and Chemical Engineering and Howard Hughes Medical Institute, California Institute of Technology, Pasadena, CA 91125, USA.
3 Genomics Institute of the Novartis Research Foundation, San Diego, CA 92121, USA.

* Present address: Department of Pathology, School of Medicine, Case Western Reserve University, Cleveland, OH 44106, USA.

† Corresponding author. E-mail: baltimo@caltech.edu

要約

転写因子の核因子κB(NF-κB)は、様々な刺激に応答して遺伝子発現を迅速に再プログラムし、その活性は、リン酸化、メチル化、およびアセチル化を含むいくつかの翻訳後修飾により制御されている。O-結合型β-N-アセチルグルコサミン付加(O-GlcNAc化として知られる過程)は、高血糖や細胞ストレスなどの状態で亢進される、豊富に存在する翻訳後修飾である。われわれは、O-GlcNAc化によってNF-κBサブユニットc-Relが修飾され、活性化されることを報告する。われわれは、セリン350を、c-RelのDNA結合およびトランス活性化機能に必要とされる、O-GlcNAc化の部位として同定した。この残基のO-GlcNAc化を遮断すると、T細胞受容体(TCR)活性化に応答した、サイトカインをコードする遺伝子IL2IFNG、およびCSF2のc-Relを介した発現が抑制されたのに対し、細胞タンパク質のO-GlcNAc化の程度を増大させると、これらの遺伝子の発現が亢進した。NFKBIA(IκBαをコードする)およびTNFAIP3(A20をコードする)といった、他のNF-κB標的遺伝子のTCRまたは腫瘍壊死因子(TNF)誘導性の発現は、c-RelのO-GlcNAc化と無関係に生じた。われわれの結果から、1型糖尿病などの状態における、ヘルパーT細胞サイトカイン産生の亢進によるT細胞を介した自己免疫の促進において、高血糖により誘導されるc-RelのO-GlcNAc化が刺激特異的な役割をもつことが示唆される。

P. Ramakrishnan, P. M. Clark, D. E. Mason, E. C. Peters, L. C. Hsieh-Wilson, D. Baltimore, Activation of the Transcriptional Function of the NF-κB Protein c-Rel by O-GlcNAc Glycosylation. Sci. Signal. 6, ra75 (2013).

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