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ホスホリパーゼC-γ2の自己抑制的なC末端側SH2領域がB細胞受容体シグナロソームの会合を安定化する

The autoinhibitory C-terminal SH2 domain of phospholipase C-γ2 stabilizes B cell receptor signalosome assembly

Research Article

Sci. Signal., 16 September 2014
Vol. 7, Issue 343, p. ra89
DOI: 10.1126/scisignal.2005392

Jing Wang1,*, Haewon Sohn1,*, Guangping Sun2, Joshua D. Milner2, and Susan K. Pierce1,†

1 Laboratory of Immunogenetics, National Institute of Allergy and Infectious Diseases, National Institutes of Health, Rockville, MD 20852, USA.
2 Laboratory of Allergic Diseases, National Institute of Allergy and Infectious Diseases, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.

Corresponding author. E-mail: spierce@nih.gov

* These authors contributed equally to this work.

要約 B細胞受容体(BCR)に抗原が結合すると、初期にはLynキナーゼ、脾臓チロシンキナーゼ(Syk)、ブルトンチロシンキナーゼ(Btk)とアダプタータンパク質であるB細胞リンカー(BLNK)で構成されるシグナル伝達複合体(シグナロソーム)の会合が刺激される。会合すると、これらのタンパク質は、細胞内Ca2+の増加を刺激してBCRの下流にあるさまざまなシグナル伝達経路を活性化する重要なエフェクターであるホスホリパーゼC-γ2(PLC-γ2)を動員し、活性化させる。自己抑制的なC末端側Src相同領域2(cSH2)の欠失したPLC-γ2変異体をコードする変異型PLCG2遺伝子を1コピー有する個人は、PLC-γ2関連抗体欠損免疫異常症(PLAID)を呈する。逆説的だが、PLC-γ2変異体を発現するCOS-7細胞では定常時と刺激時のPLC-γ2活性は高まっているのに、PLAID患者由来のB細胞ではBCR架橋結合時の細胞内Ca2+応答がみられない。われわれは、BCR架橋結合によって刺激される初期のシグナル伝達複合体の安定化においてPLC-γ2のcSH2領域が重要な役割を果たすことを示した。変異体PLC-γ2の存在下では、Syk、Btk、BLNKは弱くリン酸化されるのみで、BCRと安定的に会合できない。そのため、BCRは安定なクラスターを形成できず、BCRの下流のシグナル伝達と輸送に異常が生じた。このように、cSH2領域には、PLC-γ2の活性部位を阻害するだけでなく、初期のBCRシグナル伝達複合体を直接的または間接的に安定化させる機能がある。

J. Wang, H. Sohn, G. Sun, J.-D. Milner, and S.-K. Pierce, The autoinhibitory C-terminal SH2 domain of phospholipase C-γ2 stabilizes B cell receptor signalosome assembly. Sci. Signal. 7, ra89 (2014).

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