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ニューレグリン1によって活性化されたERBB4はYAPと相互作用し、Hippo経路標的遺伝子を誘導し、細胞遊走を促進する

Neuregulin 1–activated ERBB4 interacts with YAP to induce Hippo pathway target genes and promote cell migration

Research Article

Sci. Signal., 9 December 2014
Vol. 7, Issue 355, p. ra116
DOI: 10.1126/scisignal.2005770

Jonathan W. Haskins, Don X. Nguyen, and David F. Stern*

Department of Pathology and Yale Cancer Center, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06510, USA.

* Corresponding author. E-mail: df.stern@yale.edu

要約 上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーのメンバーである受容体チロシンキナーゼERBB4は、膜内でタンパク質分解を受け、核内の転写を調節する可溶性細胞内ドメイン(ICD)を放出するという点で、通常とは異なる。本研究では、ERBB4が、器官および組織の成長を促進し、Hippo腫瘍抑制経路によって阻害される転写共役因子YAPを活性化することを明らかにした。培養乳腺上皮細胞中でERBB4を過剰発現させる、またはERBB4リガンドであるニューレグリン1(NRG1)を乳がん細胞培養物に添加することにより、CTGFなど、YAPによって調節される遺伝子の発現が亢進した。YAPまたはERBB4をノックダウンすると、NRG1によるCTGF発現の誘導が阻害された。また、ERBB阻害剤であるラパチニブやエルロチニブで細胞を処理することによっても、ERBB4切断が抑制され、NRG1によるCTGF発現の誘導が阻害された。NRG1によるYAP活性促進の程度は、既知のYAPアクチベーターであるEGF(上皮成長因子)またはLPA(リゾホスファチジン酸)によるYAP活性促進と同等であった。NRG1は、乳がん細胞株におけるYAP依存性の細胞遊走を促進した。これらの所見から、成長因子受容体の特異な核機能と機械受容経路の関連が示され、NRG1-ERBB4-YAPシグナル伝達が腫瘍細胞の高悪性度の動態に寄与していることが示唆される。

J. W. Haskins, D. X. Nguyen, and D. F. Stern, Neuregulin 1-activated ERBB4 interacts with YAP to induce Hippo pathway target genes and promote cell migration. Sci. Signal. 7, ra116 (2014).

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2014年12月9日号

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