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T細胞においてキナーゼItkとアダプターTSAdがTyr192のリン酸化を亢進させることによってキナーゼLckの特異性を変化させる

The kinase Itk and the adaptor TSAd change the specificity of the kinase Lck in T cells by promoting the phosphorylation of Tyr192

Research Article

Sci. Signal., 9 December 2014
Vol. 7, Issue 355, p. ra118
DOI: 10.1126/scisignal.2005384

Stine Granum1,*, Vibeke Sundvold-Gjerstad1, Ramakrishna Prabhu Gopalakrishnan1, Tone Berge2, Lise Koll1, Greger Abrahamsen1, Morten Sørlie3, and Anne Spurkland1,*

1 Department of Anatomy, Institute of Basic Medical Sciences, University of Oslo, 0317 Oslo, Norway.
2 Department of Neurology, Oslo University Hospital Ullevål, 0424 Oslo, Norway.
3 Department of Chemistry, Biotechnology and Food Science, Norwegian University of Life Sciences, 1432 Ås, Norway.

* Corresponding author. E-mail: stine.granum@medisin.uio.no (S.G.); anne.spurkland@medisin.uio.no (A.S.)

要約 Srcファミリーキナーゼ(SFK)の基質特異性は、ある程度、各々のSrc相同領域2(SH2)ドメインによって決定される。そのため、SFKのSH2ドメインにおける一過性の変化によって、その結合相手が変わり、細胞内シグナル伝達経路に影響する可能性がある。Lckは、T細胞受容体(TCR)へのリガンド結合に反応したT細胞活性化の開始の中心となるSFKであり、その後のシグナル伝達過程にとっても重要である。Lckのキナーゼ活性には、活性化チロシン残基のリン酸化と抑制性チロシン残基の脱リン酸化の両方が必要である。われわれは、LckのSH2ドメイン内に保存されている3番目のチロシンリン酸化部位(Tyr192)がT細胞の適切な活性化およびT細胞と抗原提示細胞の間の細胞間結合の形成に必要であることを見出した。リンペプチドアレイと生化学的アッセイによって、われわれは、Tyr192がリン酸化されていないLckよりもTyr192がリン酸化されているLckと選択的に結合するアクチン細胞骨格の制御因子をいくつか同定した。これらのリン酸化に依存する結合相手のうち、キナーゼItk(interleukin-2-inducible Tec kinase、インターロイキン2誘導性Tecキナーゼ)とアダプタータンパク質TSAd(T cell-specific adaptor、T細胞特異的アダプター)の2つがTCRに依存してLckのTyr192のリン酸化を亢進した。われわれのデータは、リン酸化によってSH2ドメインの特異性が一時的に変化することを示唆しており、細胞を適切に活性化させるため、SFKをあるシグナル伝達プログラムから他プログラムへと配線し直すような機構が存在する可能性を示している。

S. Granum, V. Sundvold-Gjerstad, R. P. Gopalakrishnan, T. Berge, L. Koll, G. Abrahamsen, M. Sørlie, and A. Spurkland, The kinase Itk and the adaptor TSAd change the specificity of the kinase Lck in T cells by promoting the phosphorylation of Tyr192. Sci. Signal. 7, ra118 (2014).

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