• ホーム
  • フィラミンAはコアクチベーターMKL1と相互作用し転写因子SRFの活性および細胞遊走を促進する

フィラミンAはコアクチベーターMKL1と相互作用し転写因子SRFの活性および細胞遊走を促進する

Filamin A interacts with the coactivator MKL1 to promote the activity of the transcription factor SRF and cell migration

Research Article

Sci. Signal. 10 Nov 2015:
Vol. 8, Issue 402, pp. ra112
DOI: 10.1126/scisignal.aad2959

Philipp Kircher1, Constanze Hermanns1, Maximilian Nossek1, Maria Katharina Drexler1, Robert Grosse2, Maximilian Fischer3, Antonio Sarikas3, Josef Penkava1, Thera Lewis4, Ron Prywes4, Thomas Gudermann1,5,6,*, and Susanne Muehlich1,*,†

1 Walther Straub Institute of Pharmacology and Toxicology, Ludwig-Maximilians-University, Munich 80336, Germany.
2 Institute of Pharmacology, Biochemical-Pharmacological Center, University of Marburg, Marburg 35043, Germany.
3 Institute of Pharmacology and Toxicology, Technical University Munich, Munich 80802, Germany.
4 Department of Biological Sciences, Columbia University, New York, NY 10027, USA.
5 Comprehensive Pneumology Center Munich, German Center for Lung Research, Munich 81377, Germany.
6 German Center for Cardiovascular Research (DZHK), Munich Heart Alliance, Munich 80802, Germany.

† Corresponding author. E-mail: susanne.muehlich@lrz.uni-muenchen.de

* These authors are co-senior authors.

要約 巨核芽球性白血病1(MKL1)は、細胞増殖、運動性、接着性、および分化など細胞内の動的な細胞骨格変化も伴う過程に関連する遺伝子の発現を促進する血清応答因子(SRF)のコアクチベーターである。MKL1は、単量体球状アクチン(G-アクチン)に結合していると不活性であるが、低分子量グアノシントリホスファターゼRhoAを活性化させるシグナルは、アクチンの重合とG-アクチンからのMKL1の解離を引き起こす。われわれは、繊維状アクチン(F-アクチン)に結合するタンパク質、フィラミンA(FLNA)との結合により媒介されるMKL1の新しい活性化機構を発見した。FLNAとMKL1の相互作用は、初代線維芽細胞、メラノーマ、乳癌および肝細胞癌細胞においてMKL1の標的遺伝子の発現に必要であった。われわれは、MKL1とFLNAの相互作用領域を同定し、FLNAと結合できないMKL1の変異体を発現する細胞では、細胞遊走が損なわれ、MKL1-SRFの標的遺伝子の発現が低下した。MKL1-SRFの標的遺伝子の誘導および抑制はそれぞれ、MKL1-FLNAの相互作用の増加あるいは減少と相関していた。初代ヒト線維芽細胞におけるリゾホスファチジン酸誘導性のRhoAの活性化は、FLNAと内因性MKL1の会合を促進したのに対し、アクチン重合阻害剤への曝露は、メラノーマ細胞においてFLNAからMKL1を解離させ、MKL1-SRFの標的遺伝子の発現を減少させた。このように、FLNAは、アクチンの重合とMKL1-SRFの活性を関連づけ、MKL1と単量体G-アクチンの既知の抑制複合体に対抗する正の細胞トランスデューサーとして機能する。

Citation: P. Kircher, C. Hermanns, M. Nossek, M. K. Drexler, R. Grosse, M. Fischer, A. Sarikas, J. Penkava, T. Lewis, R. Prywes, T. Gudermann, S. Muehlich, Filamin A interacts with the coactivator MKL1 to promote the activity of the transcription factor SRF and cell migration. Sci. Signal. 8, ra112 (2015).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2015年11月10日号

Editors' Choice

微生物学
バイオフィルムの心躍る時期

Research Article

フィラミンAはコアクチベーターMKL1と相互作用し転写因子SRFの活性および細胞遊走を促進する

骨格筋でのmTORC1活性化がFGF21を介して全身の代謝を調節する

シグナル伝達と機能的能力の決定においてサイトカイン受容体の結合パラメータが担う指令的役割

タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼPRMT5はD2様ドパミン受容体シグナル伝達を促進する

最新のResearch Article記事

2025年11月11日号

SH2ドメイン含有シグナル伝達タンパク質SHP2およびSRCではイオン化可能なネットワークがpH依存性アロステリーを仲介する

2025年11月11日号

CSF1R-CAR T細胞はCSF1Rシグナル伝達を誘導し、標的細胞の増殖を促進しうる

2025年11月04日号

白血球には乾癬様皮膚炎症時の動員を制御するヘパラン硫酸グリコカリックスがある

2025年11月04日号

コルドイドグリオーマのPRKCA D463H変異はマウスにおいて早発性軟骨肉腫を誘導するキナーゼ不活性型機能獲得型対立遺伝子である

2025年10月28日号

腸由来のソルビトールは腸内細菌の非存在下で脂肪性肝疾患を引き起こす