• ホーム
  • シグナル伝達と機能的能力の決定においてサイトカイン受容体の結合パラメータが担う指令的役割

シグナル伝達と機能的能力の決定においてサイトカイン受容体の結合パラメータが担う指令的役割

Instructive roles for cytokine-receptor binding parameters in determining signaling and functional potency

Research Article

Sci. Signal. 10 Nov 2015:
Vol. 8, Issue 402, pp. ra114
DOI: 10.1126/scisignal.aab2677

Ignacio Moraga1,2,*, David Richter3,*, Stephan Wilmes3, Hauke Winkelmann3, Kevin Jude1,2, Christoph Thomas1,2, Megan M. Suhoski4, Edgar G. Engleman4, Jacob Piehler3,†, and K. Christopher Garcia1,2,†

1 Howard Hughes Medical Institute, Stanford University School of Medicine, Stanford, CA 94305-5345, USA.
2 Department of Molecular and Cellular Physiology and Department of Structural Biology, Stanford University School of Medicine, Stanford, CA 94305-5345, USA.
3 Department of Biology, University of Osnabrück, 49076 Osnabrück, Germany.
4 Department of Pathology, Stanford University School of Medicine, Stanford, CA 94305-5345, USA.

† Corresponding author. E-mail: kcgarcia@stanford.edu (K.C.G.); piehler@uos.de (J.P.)

* These authors contributed equally to this work.

要約 サイトカインは、細胞表面受容体を二量体化してシグナル伝達を活性化し、免疫応答のさまざまな面を調節する。サイトカインの多くは多面的作用を有するため、さまざまな細胞種に対して冗長かつ個別的な多様な効果を誘発する。そのような多面的作用はサイトカインに基づく治療法の妨げになっており、治療には高用量が必要になるためオフターゲット効果が引き起こされることも多く、サイトカインに誘導されるシグナル伝達と生理活性の調整パラメータについてより詳しく理解する必要性が強調されている。われわれは、サイトカインのプロトタイプであるインターロイキン13(IL-13)を用いて、受容体の結合と下流の広範な細胞応答との相互関係を調べた。構造に基づく遺伝子操作を行い、受容体サブユニットIL-13Rα1に対して幅広い結合強度をもつIL-13バリアントを作製した。改変型IL-13バリアントは、受容体に対する親和性にはかなりの幅があるが、STAT6(signal transducer and activator of transcription 6、シグナル伝達性転写因子6)のリン酸化を促進する能力に関しては同等であった。STAT6のリン酸化と核移行に遅れがみられたのは、受容体に対する親和性が顕著に低いIL-13バリアントのみであった。これらのデータから、われわれは、結合親和性がさまざまに異なる改変型IL-13バリアント全体について、STAT6のリン酸化の反応速度を定量的に再現するような機構モデルを考案した。受容体エンドサイトーシスがSTAT6活性化の調節において重要な役割を果たし、細胞膜上での受容体‐リガンド複合体の寿命が、バリアントのより遠位での反応を誘導する能力を決定づける。細胞外でのリガンド結合と受容体機能との間にみられるこの複雑な相互関係は、治療効果を高めるために最適なサイトカイン用量を決定するうえで、機構に基づく戦略を練るための新たな基礎となる。

Citation: I. Moraga, D. Richter, S. Wilmes, H. Winkelmann, K. Jude, C. Thomas, M. M. Suhoski, E. G. Engleman, J. Piehler, K. C. Garcia, Instructive roles for cytokinereceptor binding parameters in determining signaling and functional potency. Sci. Signal. 8, ra114 (2015).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2015年11月10日号

Editors' Choice

微生物学
バイオフィルムの心躍る時期

Research Article

フィラミンAはコアクチベーターMKL1と相互作用し転写因子SRFの活性および細胞遊走を促進する

骨格筋でのmTORC1活性化がFGF21を介して全身の代謝を調節する

シグナル伝達と機能的能力の決定においてサイトカイン受容体の結合パラメータが担う指令的役割

タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼPRMT5はD2様ドパミン受容体シグナル伝達を促進する

最新のResearch Article記事

2025年07月08日号

MDM2-p53軸がnorrin/frizzled4シグナル伝達と血液-CNSバリア機能を調節する

2025年07月01日号

パーキンソン病に関連するLRRK2変異マウスに対するキナーゼ阻害剤投与による線条体神経保護経路の回復

2025年07月01日号

PKCηのミスセンス変異はゴルジ体に限局したシグナル伝達を増強し、潜性遺伝性の家族性アルツハイマー病に関連する

2025年06月24日号

STIM1ではなくSTIM2の欠損が代謝リプログラミングとATF4 ERストレス経路を介して大腸がんの転移を促進する

2025年06月17日号

アンフィレギュリンは感覚ニューロンにおいてヒストンのラクチル化を刺激する解糖系を亢進させることによって神経障害性疼痛に関与する