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マクロファージのp62およびポリユビキチン化タンパク質が濃縮した封入体はアテローム動脈硬化症から保護する

Inclusion bodies enriched for p62 and polyubiquitinated proteins in macrophages protect against atherosclerosis

Research Article

Sci. Signal. 05 Jan 2016:
Vol. 9, Issue 409, pp. ra2
DOI: 10.1126/scisignal.aad5614

Ismail Sergin1, Somashubhra Bhattacharya1, Roy Emanuel1, Emel Esen2, Carl J. Stokes1, Trent D. Evans1, Batool Arif3, John A. Curci4, and Babak Razani1,5,*

1 Cardiovascular Division, Department of Medicine, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
2 Department of Orthopedic Surgery, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
3 Department of Surgery, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
4 Department of Surgery, Vanderbilt University Medical Center, Nashville, TN 37232, USA.
5 Department of Pathology and Immunology, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.

* Corresponding author. E-mail: brazani@im.wustl.edu.

要約 オートファジーは、機能不全のタンパク質や細胞小器官を分解する異化細胞メカニズムである。アテローム性動脈硬化プラーク形成は、重要なオートファジータンパク質であるATG5を欠損するマクロファージをもつマウスで増強される。われわれは、アテローム性動脈硬化症を促進する脂質へのマクロファージの暴露がオートファジーシャペロンp62の存在量を増加させること、および、p62が不溶性タンパク質凝集体によって特徴付けられる細胞質封入体内でポリユビキチン化タンパク質と共局在することを示した。ATG5欠損マクロファージは、大きな細胞質ユビキチン陽性封入体にさらなるp62の蓄積を進めた。アテローム性動脈硬化症マウス由来の大動脈およびヒトの動脈内膜切除標本由来のプラークでは、プラークマクロファージと共局在するp62およびポリユビキチン化タンパク質の存在量が増加し、p62に富むタンパク質凝集体が、アテローム性動脈硬化症の特徴であることを示唆した。脂質負荷p62欠損マクロファージが細胞質に拡散したパターンでポリユビキチン化タンパク質を蓄積させるため、細胞質封入体の形成は、p62に依存していた。脂質負荷p62欠損マクロファージはまた、インターロイキン-1β(IL-1β)の分泌増加を示し、p62ユビキチン結合ドメインに依存し、NLRP3インフラマソームのp62によるクリアランスに少なくとも部分的に関与するアポトーシスを受ける傾向を増加させた。われわれのin vitroでの観察と一致し、p62欠損マウスは、より複雑なアテローム性動脈硬化プラークをより多く形成し、p62欠損はさらに、マクロファージ特異的にATG5を欠損したマウスでは動脈硬化性プラーク負荷を増加させた。合わせると、これらのデータは、p62による細胞傷害ユビキチン化タンパク質の隔離がアテローム発生、すなわちタンパク質凝集体のクリアランスが阻害された状態から保護することを示唆した。

Citation: I. Sergin, S. Bhattacharya, R. Emanuel, E. Esen, C. J. Stokes, T. D. Evans, B. Arif, J. A. Curci, B. Razani, Inclusion bodies enriched for p62 and polyubiquitinated proteins in macrophages protect against atherosclerosis. Sci. Signal. 9, ra2 (2016).

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