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ONC201は、特定のeIF2αキナーゼよるATF4活性化に依存する統合的ストレス応答を誘発することにより固形がん細胞を死滅させる

ONC201 kills solid tumor cells by triggering an integrated stress response dependent on ATF4 activation by specific eIF2α kinases

Research Article

Sci. Signal. 16 Feb 2016:
Vol. 9, Issue 415, pp. ra18
DOI: 10.1126/scisignal.aac4374

C. Leah B. Kline1,2,*, A. Pieter J. Van den Heuvel1,*,†, Joshua E. Allen1,3, Varun V. Prabhu1,2, David T. Dicker1,2, and Wafik S. El-Deiry1,2,‡

1 Hematology/Oncology Division and Penn State Hershey Cancer Institute, Penn State College of Medicine, Hershey, PA 17033, USA.
2 Laboratory of Translational Oncology and Experimental Cancer Therapeutics, Department of Hematology/Oncology and Molecular Therapeutics Program, Fox Chase Cancer Center, Philadelphia, PA 19111, USA.
3 Oncoceutics Inc., Hummelstown, PA 17036, USA.

‡ Corresponding author. E-mail: wafik.eldeiry@fccc.edu

* These authors contributed equally to the work.

† Present address: Vironika LLC, Philadelphia, PA 19104, USA.

要約 ONC201(TIC10とも呼ぶ)は、細胞増殖および細胞生存促進キナーゼAktおよびERKを不活化し、アポトーシス促進タンパク質であるTRAILを介して細胞死を誘導する低分子である。ONC201については現在、各種悪性腫瘍に対する早期臨床試験を実施中である。本研究では、ONC201が転写因子ATF4、トランス活性化因子CHOPおよびTRAIL受容体DR5が関与する統合的ストレス応答(ISR)を介して、TRAIL量の増加および細胞死を誘発することを遺伝子発現およびタンパク質解析によって明らかにした。ONC201耐性がん細胞ではATF4は活性化されず、ONC201感受性細胞では、ATF4またはCHOPをノックダウンするとONC201誘導性細胞毒性が部分的に無効になり、ONC201によるDR5量の増加が減少した。ONC201によるATF4の活性化には、翻訳開始因子eIF2αをリン酸化し、活性化するHRIおよびPKRキナーゼが必要であった。ONC201は急速に細胞周期停止を誘導し、これは、サイクリンD1量の減少、キナーゼ複合体mTORC1の活性低下および網膜芽細胞腫(Rb)タンパク質の脱リン酸化と関連していた。X連鎖アポトーシス阻害タンパク質(XIAP)量は、ONC201によるアポトーシスの程度と負の相関があった。これらのONC201の作用は、がん細胞のp53が正常か変異型かによらなかった。以上、ONC201はISR経路によるTRAILの協調誘導を介して細胞死を誘導する。

Citation: C. L. B. Kline, A. P. J. Van den Heuvel, J. E. Allen, V. V. Prabhu, D. T. Dicker, W. S. El-Deiry, ONC201 kills solid tumor cells by triggering an integrated stress response dependent on ATF4 activation by specific eIF2α kinases. Sci. Signal. 9, ra18 (2016).

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2016年2月16日号

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