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キナーゼp38およびJNKの核移行は炎症誘発性がんを促進する

The nuclear translocation of the kinases p38 and JNK promotes inflammation-induced cancer

Research Article

Sci. Signal. 10 Apr 2018:
Vol. 11, Issue 525, eaao3428
DOI: 10.1126/scisignal.aao3428

Galia Maik-Rachline1, Elder Zehorai1, Tamar Hanoch1, John Blenis2, and Rony Seger1,*

1 Department of Biological Regulation, The Weizmann Institute of Science, Rehovot 76100, Israel.
2 Weill Cornell Medicine, New York, NY 10021, USA.

* Corresponding author. Email: rony.seger@weizmann.ac.il

要約

MAPKのようなシグナル伝達タンパク質の刺激による核移行は、それらタンパク質の生理機能の開始および調節のために必要である。これまでに、われわれは、MAPKであるp38およびJNKの核移行が、インポーチン3と、インポーチン7またはインポーチン9のいずれかを含むヘテロ二量体への結合を伴うことを示した。本研究では、p38およびJNKのインポーチン結合領域を同定し、この部位を標的とするPERYと名付けたミリストイル化ペプチドを開発した。PERYペプチドは、p38およびJNKのインポーチンとの相互作用を特異的に遮断し、それらの核移行を制限し、核基質のリン酸化を阻害した(しかし、細胞質基質のリン酸化は阻害しなかった)。これらの効果を介して、PERYペプチドは、いくつかの培養がん細胞株(すべてではないが)の増殖を低下させ、マウスでのヒト乳がん異種移植片の増殖を阻害した。さらに、PERYペプチドは、大腸炎および大腸炎関連結腸がんのモデルにおいて明らかにされたように、マウスにおける炎症を実質的に阻害した。PERYペプチドは、市販のp38阻害剤よりも結腸がん発症をより効果的に防止した。in vivo解析はさらに、この効果がマクロファージにおけるp38の核移行のPERYペプチド誘導性阻害により媒介されることを示唆した。合わせると、これらの結果は、様々ながんおよび炎症誘発性疾患を治療する新規の薬物標的としてp38およびJNKの核移行を利用することを支持する。

Citation: G. Maik-Rachline, E. Zehorai, T. Hanoch, J. Blenis, R. Seger, The nuclear translocation of the kinases p38 and JNK promotes inflammation-induced cancer. Sci. Signal. 11, eaao3428 (2018).

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