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ヒト、ニワトリ、ワニ、カエル、ゼブラフィッシュのミネラルコルチコイド受容体の進化:ステロイド特異性へのアロステリックな影響

Evolution of human, chicken, alligator, frog, and zebrafish mineralocorticoid receptors: Allosteric influence on steroid specificity

Research Article

Sci. Signal. 03 Jul 2018:
Vol. 11, Issue 537, eaao1520
DOI: 10.1126/scisignal.aao1520

Yoshinao Katsu1,2,*, Kaori Oka1, and Michael E. Baker3,*

1 Graduate School of Life Science, Hokkaido University, Sapporo, Japan.
2 Department of Biological Sciences, Hokkaido University, Sapporo, Japan.
3 Division of Nephrology-Hypertension, Department of Medicine, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093-0693, USA.

* Corresponding author. Email: ykatsu@sci.hokudai.ac.jp (Y.K.); mbaker@ucsd.edu (M.E.B.)

要約

グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、プロゲスチンファミリーの複数のステロイドリガンドが、ミネラルコルチコイド受容体(MR)に結合し、その活性を調節するが、これらのリガンドに対する反応は種によって異なる。MRの異なるドメインが、MR活性のリガンド誘導性の活性化または抑制に寄与する仕組みを理解するために、われわれは、ヒト、ニワトリ、ワニ、カエル、ゼブラフィッシュの全長型MRと、N末端ドメイン(NTD)およびDNA結合ドメイン(DBD)を欠損した切断型MRの、8種類のステロイド(アルドステロン、11-デオキシコルチコステロン、11-デオキシコルチゾール、コルチゾール、コルチコステロン、プロゲステロン、19-ノルプロゲステロン、スピロノラクトン)に対する反応を検討した。全長型MRと比較して、切断型MRの中には、ステロイドによって活性化されないものや、活性化に必要なステロイド濃度がより高いものがあった。プロゲステロン、19-ノルプロゲステロン、スピロノラクトンは、全長型または切断型のヒト、ワニ、カエルMRを活性化させなかった。しかし、これらのステロイドは、10 nMで全長型のニワトリおよびゼブラフィッシュMRを活性化させ、100 nMでは、切断型ニワトリMRにはほとんど活性を示さなかった一方、切断型ゼブラフィッシュMRに対する活性を維持していた。このことから、プロゲスチンによるニワトリMR活性化の調節はNTD-DBDによってなされ、ゼブラフィッシュMR活性化の調節はヒンジ-LBDによることが示唆される。ヒトMRのSer810は、プロゲステロンのヒトMRに対するアンタゴニスト活性に必要とされ、ゼブラフィッシュおよびニワトリMRにはこれに相当するセリンが存在することから、これまで明らかにされていなかった、プロゲスチンによるニワトリおよびゼブラフィッシュMRの活性化の調節機構が示唆される。これらの結果から、プロゲステロンは、ニワトリおよびゼブラフィッシュMRの生理的活性化因子ではないかと考えられる。

Citation: Y. Katsu, K. Oka, M. E. Baker, Evolution of human, chicken, alligator, frog, and zebrafish mineralocorticoid receptors: Allosteric influence on steroid specificity. Sci. Signal. 10, eaao1520 (2018).

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