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転写因子Lef1は筋幹細胞の静止状態においてパートナーをβ-カテニンからSmad3に切り替える
The transcription factor Lef1 switches partners from β-catenin to Smad3 during muscle stem cell quiescence
Sci. Signal. 24 Jul 2018:
Vol. 11, Issue 540, eaan3000
DOI: 10.1126/scisignal.aan3000
Ajoy Aloysius1,2,3, Ramanuj DasGupta4, and Jyotsna Dhawan2,3,*
1 National Centre for Biological Sciences, Tata Institute of Fundamental Research, Bangalore 560065, India.
2 Centre for Cellular and Molecular Biology, Hyderabad 500007, India.
3 Institute for Stem Cell Biology and Regenerative Medicine, Bangalore 560065, India.
4 Genome Institute of Singapore, Singapore, Singapore.
* Corresponding author. Email: jdhawan@ccmb.res.in
要約
サテライト細胞としても知られる骨格筋幹細胞(MuSC)は、生後早期に静止状態(G0)に移行することで哺乳類の成獣でも生きながらえている。静止状態は、損傷誘発性の再生の際に切り替えられ、再生後に再び確立される。培養筋芽細胞のG0への移行は特異的で可逆性のWnt標的遺伝子の誘導を伴うため、Wntシグナル伝達に対する転写反応を媒介しているTcfおよびLef1(Tcf/Lef)の転写因子ファミリーのメンバーが、静止状態の開始に関与している。われわれは、Tcf/Lefと協調して働く古典的Wntエフェクターであるβ-カテニンは、筋芽細胞の静止状態への移行に不要であることを見出した。培養C2C12筋芽細胞およびMuSCにおいて薬理学的および遺伝的アプローチを用いることで、われわれは、静止状態におけるTcf/Lef活性はβ-カテニンに依存するのではなく、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)エフェクターおよび転写コアクチベーターSmad3に依存することを実証した。Smad3は古典的Wnt応答性エレメントにおいてLef1と共局在し、特にG0期にLef1と直接相互作用する。Smad3の除去により、標的プロモーターでのLef1占有率、Tcf/Lef標的遺伝子の発現、および筋芽細胞の自己再生が低下したが、β-カテニンの除去によってはこれらは生じなかった。In vivoにおいてMuSCが出生後に増殖状態から静止状態に切り替えられる間、β-カテニン-Lef1との相互作用からSmad3-Lef1との相互作用への切り替えが生じる。また損傷誘発性の再活性化の間には、β-カテニン-Lef1との相互作用が再度生じる。われわれの所見は、Wnt-Tcf/LefおよびTGF-β-Smad3シグナル伝達の相互作用が古典的Wnt標的プロモーターを活性化する際、筋芽細胞の増殖期にはβ-カテニン依存性であり、MuSC静止状態ではβ-カテニン非依存性であることを示唆している。
Citation: A. Aloysius, R. DasGupta, J. Dhawan, The transcription factor Lef1 switches partners from β-catenin to Smad3 during muscle stem cell quiescence. Sci. Signal. 11, eaan3000 (2018).