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可溶性gp130はインターロイキン-6およびインターロイキン-11クラスターシグナル伝達を阻害するが、細胞内自己分泌応答は阻害しない

Soluble gp130 prevents interleukin-6 and interleukin-11 cluster signaling but not intracellular autocrine responses

Research Article

Sci. Signal. 02 Oct 2018:
Vol. 11, Issue 550, eaar7388
DOI: 10.1126/scisignal.aar7388

Larissa Lamertz1, Franziska Rummel1, Robin Polz1, Paul Baran1, Selina Hansen1, Georg H. Waetzig2, Jens M. Moll1, Doreen M. Floss1, and Jürgen Scheller1,*

1 Institute of Biochemistry and Molecular Biology II, Medical Faculty, Heinrich-Heine-University, Düsseldorf 40225, Germany.
2 CONARIS Research Institute AG, Kiel 24118, Germany.

* Corresponding author. Email: jscheller@uni-duesseldorf.de

要約

インターロイキン-6(IL-6)は、IL-6ファミリーの炎症誘発性サイトカインである。IL-6ファミリーメンバーはサイトカイン特異的受容体とシグナル伝達サブユニットgp130の複合体を介してシグナルを伝達する。IL-6と膜結合型IL-6受容体(IL-6R)及びgp130との相互作用は「古典的シグナル伝達」を刺激するのに対し、IL-6及び可溶性IL-6Rとgp130との結合は「トランスシグナル伝達」を刺激する。あるいは、トランスミッター細胞上の膜結合型IL-6:IL-6R複合体が隣接するレシーバー細胞上のgp130受容体を活性化すると、「クラスターシグナル伝達」が生じる。可溶性gp130(sgp130)は選択的トランスシグナル伝達阻害剤であるが、古典的シグナル伝達には影響を及ぼさない。本研究では、可溶性gp130と天然及び合成膜結合型IL-6:IL-6R複合体との相互作用がIL-6クラスターシグナル伝達を阻害することを明らかにした。同様に、IL-11Rを介したgp130へのIL-11クラスターシグナル伝達も可溶性gp130によって阻害された。しかし、自己分泌古典的及びトランスシグナル伝達は、sgp130やgp130抗体などの細胞外阻害剤によって阻害されない。これらの結果から、自己分泌IL-6シグナル伝達が細胞内で生じ得ることが示唆される。

Citation: L. Lamertz, F. Rummel, R. Polz, P. Baran, S. Hansen, G. H. Waetzig, J. M. Moll, D. M. Floss, J. Scheller, Soluble gp130 prevents interleukin-6 and interleukin-11 cluster signaling but not intracellular autocrine responses. Sci. Signal. 11, eaar7388 (2018).

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