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一連のCCR5ケモカインアナログにおけるGタンパク質サブタイプ特異的なシグナル伝達バイアス

G protein subtype-specific signaling bias in a series of CCR5 chemokine analogs

Research Article

Sci. Signal. 16 Oct 2018:
Vol. 11, Issue 552, eaao6152
DOI: 10.1126/scisignal.aao6152

Emily Lorenzen1, Emilie Ceraudo1, Yamina A. Berchiche1,*, Carlos A. Rico1, Alexandre Fürstenberg1,2, Thomas P. Sakmar1,3,†, and Thomas Huber1,†

1 Laboratory of Chemical Biology and Signal Transduction, The Rockefeller University, 1230 York Ave., New York, NY 10065, USA.
2 Department of Inorganic and Analytical Chemistry, University of Geneva, Quai Ernest-Ansermet 30, 1211 Geneva 4, Switzerland.
3 Department of Neurobiology, Care Sciences and Society, Division for Neurogeriatrics, Center for Alzheimer Research, Karolinska Institutet, 141 57 Huddinge, Sweden.

† Corresponding author. Email: sakmar@rockefeller.edu (T.P.S.); hubert@rockefeller.edu (T.H.)

* Present address: B Cell Molecular Immunology Section, Laboratory of Immunoregulation, National Institute of Allergy and Infectious Diseases, U.S. National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.

要約

ケモカインおよび一部の化学的ケモカインアナログは、Gタンパク質共役受容体(GPCR)であるHIV-1共受容体C-Cケモカイン受容体5(CCR5)またはC-X-Cケモカイン受容体4(CXCR4)と結合したとき、HIV-1の細胞侵入を抑制する。共受容体を標的にする理想的なHIV-1侵入の遮断薬は、リガンドバイアスを示し、炎症をもたらすGタンパク質を介した経路の活性化を回避するものであろう。われわれは単一の細胞株においてセカンドメッセンジャー経路のCCR5依存的活性化を比較した。2種類の内因性ケモカイン[RANTES(別名CCL5)とMIP-1α(別名CCL3)]および4種類のRANTESケモカインアナログ(5P12-、5P14-、6P4-およびPSC-RANTES)を検討した。その結果、CCR5はGi/oとGq/11の両方を通じてシグナルを伝達することを見出した。IP1の蓄積およびCa2+流入は、従来提案されていたようなGi/o活性化後のGβγサブユニットの放出によるものではなく、Gq/11活性化によって生じていた。6P4-およびPSC-RANTESアナログはGq/11活性化のためのスーパーアゴニストであり、一方で5P12-および5P14-RANTESアナログはGi/oに対してシグナル伝達バイアスを示した。これらの結果から、RANTESアナログはGタンパク質サブタイプ特異的なシグナル伝達バイアスをもたらし、Gi/oシグナル伝達経路よりもGq/11への選択的なCCR5の共役を引き起こす可能性があることが示された。われわれは、Gタンパク質サブタイプ特異的なシグナル伝達バイアスが、複数のGタンパク質ファミリーに共役できるGPCRの、一般的な特徴である可能性を提案する。

Citation: E. Lorenzen, E. Ceraudo, Y. A. Berchiche, C. A. Rico, A. Fürstenberg, T. P. Sakmar, T. Huber, G protein subtype-specific signaling bias in a series of CCR5 chemokine analogs. Sci. Signal. 11, eaao6152 (2018).

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