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CXCR4の偏った拮抗作用はアンタゴニスト耐性を回避する

Biased antagonism of CXCR4 avoids antagonist tolerance

Research Article

Sci. Signal. 16 Oct 2018:
Vol. 11, Issue 552, eaat2214
DOI: 10.1126/scisignal.aat2214

Ben Hitchinson1, Jonathan M. Eby2, Xianlong Gao2,3, Francois Guite-Vinet4, Joshua J. Ziarek5,6, Hazem Abdelkarim1, Youngshim Lee7, Yukari Okamoto1, Sojin Shikano1, Matthias Majetschak2,3, Nikolaus Heveker4, Brian F. Volkman6, Nadya I. Tarasova8, and Vadim Gaponenko1,*

1 Department of Biochemistry and Molecular Genetics, University of Illinois at Chicago, Chicago, IL, USA.
2 Department of Surgery, Burn and Shock Trauma Research Institute, Loyola University Chicago, Chicago, IL, USA.
3 Department of Surgery, Morsani College of Medicine, University of South Florida, College of Medicine, Tampa, FL, USA.
4 Department of Biochemistry, Research Centre, Sainte-Justine Hospital, Montréal, Quebec, Canada.
5 Department of Molecular and Cellular Biochemistry, Indiana University, Bloomington, IN, USA.
6 Department of Biochemistry, Medical College of Wisconsin, Milwaukee, WI, USA.
7 Division of Bioscience and Biotechnology, Biomolecular Informatics Center, Konkuk University, Seoul 05029, Republic of Korea.
8 Cancer and Inflammation Program, National Cancer Institute, P.O. Box B, Frederick, MD, USA.

* Corresponding author. Email: vadimg@uic.edu

要約

Gタンパク質共役型受容体を標的とする薬物の反復投与は、それらのアンタゴニスト耐性を刺激し、その結果薬剤の有効性が低下する。したがって、耐性を回避する戦略が必要である。白血病性芽球を骨髄から血液に動員し化学療法に感作させるケモカイン受容体CXCR4の競合的アンタゴニストであるAMD3100の有効性は、長期治療後に低下する。AMD3100に対する耐性は、白血病性芽球の表面上のCXCR4の存在量を増加させ、骨髄への再ホーミングを促進する。AMD3100は、CXCR4によるGタンパク質シグナル伝達およびβ-アレスチン1/2依存性受容体エンドサイトーシスの両方を阻害する。われわれは、Gタンパク質依存性走化性を指向したアンタゴニストは、耐性を回避するが、β-アレスチン1/2の動員およびその後の受容体エンドサイトーシスを指向したアンタゴニストでは耐性を回避しないことを実証した。CXCR4の膜貫通ヘリックス2および細胞外ループ1に由来するペプチドアンタゴニストX4-2-6は、走化性およびシグナル伝達を制限したが、細胞表面上のCXCR4蓄積を促進せず、また、耐性を引き起こさなかった。X4-2-6の活性は、別のCXCR4阻害機構に起因していた。このペプチドは、受容体およびそのリガンドであるケモカインCXCL12との三元複合体を形成した。この複合体内で、X4-2-6は、Gタンパク質の受容体による活性化に重要なCXCL12の一部を放出したが、残りのケモカインに受容体へのβ-アレスチン動員をさせることができた。対照的に、AMD3100は、CXCR4の活性化を担うケモカインのすべての成分を置換した。われわれは、アンタゴニスト耐性が、薬物が効果に達するのを妨げる場合に、患者に現実的な代替を提供しうる、X4-2-6と同様の偏ったアンタゴニスト特性をもつ低分子をさらに同定した。

Citation: B. Hitchinson, J. M. Eby, X. Gao, F. Guite-Vinet, J. J. Ziarek, H. Abdelkarim, Y. Lee, Y. Okamoto, S. Shikano, M. Majetschak, N. Heveker, B. F. Volkman, N. I. Tarasova, V. Gaponenko, Biased antagonism of CXCR4 avoids antagonist tolerance. Sci. Signal. 11, eaat2214 (2018)

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