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マイクロRNA miR-7a-5pはα-シヌクレインを抑制することによって虚血性脳損傷を改善する

The microRNA miR-7a-5p ameliorates ischemic brain damage by repressing α-synuclein

Research Article

Sci. Signal. 11 Dec 2018:
Vol. 11, Issue 560, eaat4285
DOI: 10.1126/scisignal.aat4285

TaeHee Kim1, Suresh L. Mehta1, Kahlilia C. Morris-Blanco1, Anil K. Chokkalla1,2, Bharath Chelluboina1, Mary Lopez1,2, Ruth Sullivan3, Hung Tae Kim4, Thomas D. Cook5, Joo Yong Kim1, HwuiWon Kim1, Chanul Kim1, and Raghu Vemuganti1,2,6,*

1 Department of Neurological Surgery, University of Wisconsin-Madison, Madison, WI 53792, USA.
2 Cellular and Molecular Pathology Graduate Program, University of Wisconsin-Madison, Madison, WI 53792, USA.
3 Department of Comparative Biosciences, University of Wisconsin-Madison, Madison, WI 53706, USA.
4 Department of Medicine, University of Wisconsin-Madison, Madison, WI 53705, USA.
5 Department of Biostatistics and Medical Informatics, University of Wisconsin-Madison, Madison, WI 53726, USA.
6 Williams S. Middleton Veterans Administration Hospital Madison, Madison, WI 53705, USA.

* Corresponding author. Email: vemuganti@neurosurgery.wisc.edu

要約

脳への血流を遮断する血栓によって生じる虚血性脳卒中は、重大な障害をもたらし、死にいたることもある。われわれは以前に、ラットモデルの一過性局所脳虚血により、脳のマイクロRNAの発現に広範な時間的変化が誘導され、miR-7a-5p(miR-7)の存在量が持続的に低下することを示した。今回は、げっ歯類において、Stroke Treatment Academic Industry Roundtable(STAIR)基準に従って、脳虚血後のmiR-7模倣オリゴヌクレオチドの治療効果を評価した。げっ歯類において、一過性中大脳動脈閉塞の前または後にmiR-7模倣物を局所的または全身的に注射した。雌雄両方の若齢および加齢ラットにおいて、脳虚血後に、miR-7発現の低下が認められた。虚血前または虚血後のmiR-7模倣物投与により、雌雄両方で若齢加齢を問わず、病変体積が縮小した。さらに、脳虚血後30分の時点でマウスにmiR-7模倣物を全身注射すると、病変体積が大幅に縮小し、運動および認知機能の回復が改善し、末梢毒性はわずかであった(ただし、脳虚血後2時間での投与では効果は認められなかった)。ミトコンドリア断片化、酸化ストレス、オートファジーを誘導して神経細胞死を促進するタンパク質である、α-シヌクレイン(α-Syn)の虚血後の誘導が、miR-7模倣物の投与によって大幅に減少した。若齢雄マウスにおいて、α-Synをコードする遺伝子の欠失により、miR-7模倣物依存性の神経保護と機能回復が消失した。さらなる解析によって、miR-7が、α-Synをコードする転写物に結合し、抑制することが確認された。われわれの結果から、miR-7模倣物は、治療薬として、脳卒中によって引き起こされる脳損傷と障害を最小限に抑える可能性があることが示唆される。

Citation: T. Kim, S. L. Mehta, K. C. Morris-Blanco, A. K. Chokkalla, B. Chelluboina, M. Lopez, R. Sullivan, H. T. Kim, T. D. Cook, J. Y. Kim, H. Kim, C. Kim, R. Vemuganti, The microRNA miR-7a-5p ameliorates ischemic brain damage by repressing α-synuclein. Sci. Signal. 11, eaat4285 (2018).

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2018年12月11日号

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