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ヘッジホッグ勾配応答のcis調節性論理:Gli結合の親和性、競合性および協同性が重要な役割を果たす

The cis-Regulatory Logic of Hedgehog Gradient Responses: Key Roles for Gli Binding Affinity, Competition, and Cooperativity

Research Article

Sci. Signal., 7 June 2011
Vol. 4, Issue 176, p. ra38
[DOI: 10.1126/scisignal.2002077]

David S. Parker1*, Michael A. White2*, Andrea I. Ramos1, Barak A. Cohen2, and Scott Barolo1

1 Department of Cell and Developmental Biology, University of Michigan Medical School, Ann Arbor, MI 48109-2200, USA.
2 Department of Genetics and Center for Genome Sciences and Systems Biology, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63108, USA.

* These authors contributed equally to this work.
Present address: Department of Cell Biology, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.

To whom correspondence should be addressed. E-mail: sbarolo@umich.edu

要約:発生時の胚では、拡散性のシグナル伝達タンパク質の勾配が遺伝子発現の正確な空間パターンを制御する。今回われわれは、定量的発現測定法と熱力学的モデリングを用いて、ショウジョウバエ(Drosophila)のヘッジホッグ(Hh)の勾配内での空間的に制限された遺伝子発現の基礎となるcis調節性の論理を明らかにする。ショウジョウバエでCubitus interruptus(Ci)として知られるHhエフェクターのGliは、Hhシグナル伝達が弱いときは転写リプレッサーとして働き、Hhシグナル伝達が強いときは転写アクチベーターとして働く。直感に相反して、そしてGli調節性遺伝子発現の従来のモデルとは対照的に、Hh標的遺伝子のデカペンタプレジック(dpp)がHhシグナルの弱い領域で適切な空間的発現をするためには、低親和性のCi結合部位が必要であることがわかった。3ヵ所の低親和性Ci部位の存在によって、弱いシグナルに応答するdpp発現が可能であった。これらの部位の親和性の上昇によって、dpp発現がシグナル伝達の最大領域に限定された。Ciによる協同的抑制を組み入れたモデルによって、単一のCi部位により制御されるレポーター遺伝子のin vivoでの発現が正確に予測された。われわれの研究によって、共通の結合部位で競合する転写アクチベーターとリプレッサーが、その位置情報をゲノムにまでどのようにして送ることができるのかが明らかになった。さらにこの研究は、Hh標的遺伝子内の保存された非コンセンサスGli結合部位が、幅広く存在する理由を説明するものでもある。

D. S. Parker, M. A. White, A. I. Ramos, B. A. Cohen, S. Barolo, The cis-Regulatory Logic of Hedgehog Gradient Responses: Key Roles for Gli Binding Affinity, Competition, and Cooperativity. Sci. Signal. 4, ra38 (2011).

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英語原文を見る

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