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空間的に構造化された細胞集団はインタクトな血管内皮において複数の感覚シグナルを並行して処理する

Spatially structured cell populations process multiple sensory signals in parallel in intact vascular endothelium

Research Article

Sci. Signal. 18 Dec 2018:
Vol. 11, Issue 561, eaar4411
DOI: 10.1126/scisignal.aar4411

Matthew D. Lee1, Calum Wilson1, Christopher D. Saunter2, Charles Kennedy1, John M. Girkin2, and John G. McCarron1,*

1 Strathclyde Institute of Pharmacy and Biomedical Sciences, University of Strathclyde, 161 Cathedral Street, Glasgow G4 0RE, UK.
2 Centre for Advanced Instrumentation, Biophysical Sciences Institute, Department of Physics, Durham University, South Road, Durham DH1 3LE, UK.

* Corresponding author. Email: john.mccarron@strath.ac.uk

要約

血流、血液凝固、血管新生、血管透過性、および血管リモデリングはそれぞれ、血管内皮への多数の可変的でノイズの多い相互作用する化学入力によって制御される。内皮は、心臓血管系が曝される化学組成物の全体を処理し、生理学的出力を決定する精巧な計算を実行する。この膨大な量の情報を処理することは、内皮が直面する大きな課題である。われわれは、カルバコール(CCh)とアデノシン三リン酸(ATP)に対する数百の内皮細胞の応答を分析し、内皮が化学環境のこれらの2つの異なる成分に対する応答を、並行して処理される相補的情報の別々の流れに分離することを見出した。CChおよびATPに対する感受性は、異なる細胞クラスターにマッピングされ、各アゴニストは、異なるシグナルパターンを生成した。シグナルの違いは、細胞自体の特性ではなくアゴニストによる活性化の特徴であった。複数の刺激が存在する場合、細胞は入力を伝達し、組み合わせて、入力の非線形の組み合わせである新たな異なるシグナルを生成した。われわれの結果は、内皮が、別々の細胞クラスターを用いて複雑な環境を単純化する構造化された共同的な感覚ネットワークであり、それぞれの細胞クラスターは生化学的環境全体の異なる側面に対する感受性をもち、多様であるが相互に関連する化学入力からのシグナルを双方向的に計算することを示している。これらの特徴により、内皮は選択的に別々のシグナルを処理し、ノイズの多い可変的な環境で複数の計算を実行することが可能となる。

Citation: M. D. Lee, C. Wilson, C. D. Saunter, C. Kennedy, J. M. Girkin, J. G. McCarron, Spatially structured cell populations process multiple sensory signals in parallel in intact vascular endothelium. Sci. Signal. 11, eaar4411 (2018).

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