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研究用

樹状突起棘:発生におけるArf6の役割 CYTOSKELETON NEWS 2013年1月/2月号

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CYTOSKELETON NEWS 2013年1月/2月号 樹状突起棘:発生におけるArf6の役割

樹状突起棘:発生におけるArf6の役割

樹状突起は、形成、伸長、分岐を経て発生します。特に興奮性シナプスを持つ神経の発生は、樹状突起の糸状仮足(樹状突起棘の前駆体)のようなアクチンの突出の過程を経ます(図1)。糸状仮足は、樹状突起棘の前駆体である一方、全ての糸状仮足が樹状突起棘に分化するわけではありません。構造的に、樹状突起棘は主にF-アクチンで構成され、大部分の興奮性シナプスの神経伝達の場となります1-4。樹状突起棘の構造及び機能のダイナミックな変化は、正常な学習と記憶の過程だけでなく、神経変性や神経学的障害に関係する疾病(例:アルツハイマー病(AD)、精神遅滞)の過程でも重要な役割を果たします1,5,6。従って、樹状突起及び棘中のアクチン動力を調節する経路は、基礎・臨床両方の神経科学者から大きな関心を集めています。樹状突起棘の形態、可動性、安定性(及びそれらに関する機能)を調節するために必要な2つのプロセスは、細胞骨格アクチンリモデリング3,4と膜輸送7です。

DsRedをトランスフェクトした海馬ニューロンの樹状突起と棘
図1 DsRedをトランスフェクトした海馬ニューロンの樹状突起と棘


低分子量Gタンパク質のRasスーパーファミリーの一部であるADPリボシル化因子(Arf)GTPaseは、アクチンの再編成や輸送の機能を持つことから、神経細胞の樹状突起及び棘の発生に重要な役割を果たしていることが、最近明らかになりました。他のGTPaseと同様に、Arfはグアニン交換因子(GEFs)によって媒介されるGTP結合状態と、グアニン活性化タンパク質(GAPs)によって媒介されるGDP結合状態を循環しています。Arfの6つの既知のアイソフォーム8,9のうち、Arf6は他のArfとは異なっており、独特の機能と細胞内局在性9を持ちます。Arf6は、神経細胞を含むほとんどの細胞で、輸送とアクチンの再編成という2つの機能を持っています7。GTP結合Arf6は細胞膜に局在するのに対し、GDP結合Arf6はエンドソームの区画に局在します9

 

Arfと樹状突起の分岐
海馬の神経細胞を用いた初期の樹状細胞の発生の研究で、Arf6は樹状細胞の分岐を、少なくとも2つの経路によってネガティブに調節している10-12ことが報告されました。1つはArfのエフェクターを介する直接的な経路、もう一方はRac1を介する間接的な経路です10(図2)。Arf6 GEFのドミナントネガティブ(DN)変異の過剰発現は、樹状突起の分岐を著しく増加させます12。これはおそらくαアクチンが関わる機構が影響していると思われます13。同様に、Arf GAPのsiRNAノックダウン又はGAPのDNは、樹状突起の分岐を減少させ、野生型のGAPの過剰発現は分岐を増加させます14

Arf6シグナル伝達経路
図2 Arf6シグナル伝達経路
PLD:ホスホリパーゼ D、PA:ホスファチジン酸、PIP2:ホスファチジルイノシトールビスリン酸、PIP5K:ホスファチジルイノシトール-4-リン酸塩5-キナーゼ、TLN:テレンセファリン


Arfと樹状突起棘形成
樹状突起の発生の最終段階は、シナプスの形成です。興奮性のシナプスの場合は糸状仮足の形成を経て樹状突起棘へと発生します。野生型の過剰発現又は恒常活性型(CA)のArf6による研究で、Arf6が樹状突起の糸状仮足の形成をネガティブに調節していることが明らかになりました11。同様の実験で、培養海馬神経細胞中の樹状突起棘の密度が減少する一方で、Arf6のDNの過剰発現は反対の効果をもたらしました15。同様に、海馬切片の培養においても、Arf GAPのDNの過剰発現が樹状突起棘の密度を減少させました14。反対に、Choiらは、fast-cycling Arf変異体(CA)の過剰発現、もしくは野生型Arf GEFでは、樹状突起棘の数が増加し、Arf変異体では成熟神経細胞中の糸状仮足の数が減少すると報告しました16。さらに、Arf6またはArf GEFのsiRNAノックダウンにより、樹状突起棘の数が減少する一方で、糸状仮足の数が増加することがわかりました。生細胞の画像により、この変化は、糸状仮足から樹状突起棘への転換が減少しているためであることが確認されました。また、Rac1の活性化は糸状仮足から樹状突起棘への発達に関与していることも報告されています16。Raemaekersら17は、同じfast-cycling Arf変異体を過剰発現させた海馬神経細胞で、糸状仮足の増加に伴い樹状突起棘の数が減少することを確認しました。これらの研究は、培養神経細胞に対してArf GEF及びArf GAPを外因的に発現させています。矛盾したデータの要因として、異なる変異体が使われたこと、GEFsとGAPsが複数のArfsを管理していることから、対立する機能的な影響を与えた可能性が考えられます。加えて、外因的に発現されたタンパク質の内因的な結合相手もしくは野生型の対象物との相互作用が、過剰発現されたこれらのタンパク質の機能的な出力を変化させた可能性もあります。また、トランスフェクトされたタンパク質の発現レベルは異なっています。これらの要因が、神経細胞におけるArf GTPaseによる樹状突起と棘の形成の調節に関する矛盾したデータを解明する鍵となるかもしれません。

樹状突起と棘の形成におけるこれらの変化を媒介するArfエフェクターの下流因子はまだ同定されていません(図2)。候補として、ホスファチジルイノシトール-4-リン酸塩5キナーゼ、ホスホリパーゼD、vezatin、Rac1 GTPaseが挙げられます7,18。もう1つの候補であるテレンセファリン(TLN;細胞接着分子5としても知られる)は、Arf6によって内部移行及び輸送を媒介され、樹状突起棘の発達を阻害します17。Arf6が媒介するTLNのエンドサイトーシスは、最終的に樹状突起棘の安定性を増強する経路を惹起します。これは少なくとも部分的にRac1が媒介するERMアクチン結合タンパク質の脱リン酸化によって調節されており、細胞膜からTLNを分離させます17

Arf6のほかにArf4も樹状突起棘の発達をポジティブに調節します19。Arf4のノックダウン(Arf+/- mice)は培養海馬神経細胞中の樹状突起棘の濃度を減少させる一方、野生型又はCA Arf4の過剰発現は判定の効果を示します。臨床的に、Arf4の過剰発現は、マウスADモデルの海馬神経細胞で、アポリポタンパク質E4の発現により誘導される樹状突起棘の損失を防ぎます19

これらの進歩にも関わらず、Arfsが樹状突起の発達を調節する方法の正確な解明だけでなく、各種Arf4と6のGEFとGAPへの特異性と重複性についても、多くの疑問はまだ残ったままです。これらの疑問を解決するのを支援するため、サイトスケルトン社は、複数のArf活性化アッセイキットとArf関連試薬をご提供致します。

活性化アッセイキット

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Arf1 G-LISA Activation Assay Kit詳細データ CYT BK132 96 ASSAY
¥264,000
Arf1 Pulldown Activation Assay Kit詳細データ CYT BK032-S 20 ASSAY
¥129,000
Arf6 G-LISA Activation Assay Kit詳細データ CYT BK133 96 ASSAY
¥264,000
Arf6 Pulldown Activation Assay Kit詳細データ CYT BK033-S 20 ASSAY
¥129,000
Rac1,2,3 G-LISA(R) Activation Assay Kit詳細データ CYT BK125 96 ASSAY
¥264,000
Rac1 G-LISA(R) Activation Assay Kit詳細データ CYT BK128 1 KIT
[96 assays]
¥264,000
Rac1 Pulldown Activation Assay Kit詳細データ CYT BK035 1 KIT
[50 assays]
¥212,000
Rac1 Pulldown Activation Assay Kit詳細データ CYT BK035-S 1 KIT
[20 assays]
¥108,000

タンパク質

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Rac1 Protein: constitutively active, Human詳細データ CYT R6101-A 1*10 UG
¥120,000
Rac1 His Protein: constitutively active詳細データ CYT R6101-C 4*10 UG
販売終了
Rac1 Protein: dominant negative, Human詳細データ CYT R17G01-A 1*25 UG
¥120,000
Rac1 GST Protein: dominant negative, Human詳細データ CYT R17G01-C 4*25 UG
販売終了
Rac1 GST Protein: wild type詳細データ CYT RCG01-C 8*25 UG
¥176,000
Rac1 His Protein: wild type, Human詳細データ CYT RC01-A 1*100 UG
¥120,000
Rac1 His Protein: wild type, Human詳細データ CYT RC01-C 3*100 UG
¥211,000
Rac1 His Protein: wild type, Human詳細データ CYT RC01-XL 1*1 MG
お問い合わせ
Rac2, His tagged詳細データ CYT RC02-A 1*100 UG
¥120,000
Rac2, His tagged詳細データ CYT RC02-B 3*100 UG
販売終了

低分子Gタンパク質抗体

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Anti Rac 1 w/positive control (Mouse) Unlabeled詳細データ CYT ARC03-A 2*50 UG
販売終了
Anti Rac 1 w/positive control (Mouse) Unlabeled詳細データ CYT ARC03-B 6*50 UG
販売終了

ファロイジン

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Acti-stainTM 488 phalloidin詳細データ CYT PHDG1-A 1*500 UL
[300 slides]
¥64,000
Phalloidin; Fluorescent Derivatives (Acti-StainTM 535), Rhodamine Isothiocyanate詳細データ CYT PHDR1 1*500 UL
[300 slides]
¥64,000
Acti-stainTM 555 phalloidin詳細データ CYT PHDH1-A 1*500 UL
[300 slides]
¥64,000
Acti-stainTM 670 phalloidin詳細データ CYT PHDN1-A 1*500 UL
[300 slides]
¥64,000

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