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タンパク質調節に不可欠な翻訳後修飾 CYTOSKELETON NEWS 2015年8月号

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CYTOSKELETON NEWS 2015年8月号 タンパク質調節に不可欠な翻訳後修飾

タンパク質調節に不可欠な翻訳後修飾

細胞は、恒常性を維持するために、細胞内および細胞外環境の変化に対応する必要があります。変化の中には、細胞損傷や細胞死につながる有害な影響を避けるために、迅速に起こるものがあります。タンパク質の翻訳後修飾(PTM)は細胞の方略のひとつであり、多くのタンパク質の特性(酵素活性、タンパク質相互作用、細胞内局在など)に影響を与えることにより、細胞が様々な変化に迅速に対応することができます。質量分析(MS)の発達により、大規模なPTMの同定が可能になりました。今日では、小さな化学的修飾(例: リン酸化やアセチル化)から、完全なタンパク質の付加(例: ユビキチン化やSUMO化)に至るまで、200を超えるPTMが知られています1,2。最も広く研究されているPTMは、プロテインキナーゼがセリン、スレオニン、チロシン残基にリン酸基を付加するリン酸化です。リン酸化されたタンパク質は、多様かつ重要な細胞プロセスにおいて、きわめて重大な役割を果たしていると考えられます。ヒストンタンパク質のアセチル化は、約50年前に発見され3、クロマチン構造の調節に関与することが知られてきました4。プロテオミクス研究により、約 2,000 タンパク質に渡って、5,000 のアセチル化部位が同定されました5,6。アセチル化タンパク質の大部分は、細胞質、ミトコンドリア、細胞膜に局在することから、シグナル伝達、細胞骨格のダイナミクス、膜の安定性などの多様な細胞プロセスに関与していると考えられます5,6。リジン残基は、アセチル化に加えて、ユビキチン化やSUMO化によって修飾されることが報告されており、ユビキチン化はプロテアソーム経路を介したタンパク質分解において重要な役割を果たし7、SUMO化は細胞周期、アポトーシス、DNA修復、シグナル伝達経路などの細胞プロセスの調節において重要です8

 

過酸化水素・過バナジン酸ナトリウムで処理/未処理の NIH3T3 細胞のライセートを、ホスホチロシン抗体(品番: APY03)-ビーズとインキュベートし、チロシンリン酸化タンパク質を濃縮した。 PTMtrue™ 抗体を用いてウェスタンブロット解析し、濃縮されたチロシンリン酸化タンパク質(pY)から、複数の翻訳後修飾を受けたタンパク質(1B-1D)を検出した。

図1 過酸化水素・過バナジン酸ナトリウムで処理/未処理の NIH3T3 細胞のライセートを、ホスホチロシン抗体(品番: APY03)-ビーズとインキュベートし、チロシンリン酸化タンパク質を濃縮した。 PTMtrue™ 抗体を用いてウェスタンブロット解析し、濃縮されたチロシンリン酸化タンパク質(pY)から、複数の翻訳後修飾を受けたタンパク質(1B-1D)を検出した。

PTMのクロストーク

PTMのクロストークは、最近、プロテオミクス研究領域で注目されています。二つの別の研究グループが、バイオインフォマティクスとタンパク質配列のデータベース解析により、異なる種類のPTMが近接して(約アミノ酸15残基離れて)位置する「ホットスポット」を同定しました9,10。これらの「ホットスポット」は、クロストークする場合があることが報告されています1,2。濃縮方法や質量分析(MS)技術の発達により、複数の研究グループが、細胞環境における包括的なPTMのプロテオーム解析を行っており11-13、タンパク質分解11 および SUMO化が調節するタンパク質リン酸化(例: カゼインキナーゼ II)において、リン酸化とユビキチン化とがクロストークすることが示されました12。PTMのクロストークには、ネガティブとポジティブが存在します。ポジティブなクロストークでは、最初のPTMが次のPTMの追加/除去のシグナルとして作用するか、次の修飾を行う結合タンパク質の認識シグナルとして作用します(例: リン酸化に依存したSUMO化)14。ネガティブなクロストークでは、タンパク質中の1つの残基の修飾のために直接的に競争するか15,16、次のPTMの認識部位をマスクことで間接的に作用します15,16。また、1つのタンパク質が複数の修飾を受けることを示す多くの例があります1。このようなPTMの作用が組み合わさることによって、真核生物におけるプロテオーム研究の幅が広がり、また、タンパク質の機能、局在、他の分子との相互作用などを微調整するメカニズムとなり得ます。

Cytoskeleton社では、目的のタンパク質のPTMの研究に使用できる、PTMtrue™ 抗体をご提供しております。最近では、抗ホスホチロシン(pY)抗体(品番: APY03) および 抗 SUMO-2/3 抗体(品番: ASM24)とプロテインGビーズを架橋した、PTM 濃縮ビーズを開発しました。図1および図2は、Cytoskeleton社の PTM 濃縮ビーズを使用して、複数のPTMを受けたタンパク質を検出した結果を示しています。チロシンリン酸化タンパク質を濃縮するために、過酸化水素・過バナジン酸ナトリウムで処理/未処理の NIH3T3 細胞のライセートを、ホスホチロシン抗体(品番: APY03)-ビーズとインキュベートしました。SUMO-2/3 標的タンパク質の濃縮は、ヒートショック処理/未処理の HeLa 細胞ライセートを PTM 濃縮ビーズとインキュベートすることで行いました。濃縮したタンパク質をビーズから溶出し、SDS-PAGE ゲル上で分解しました。その後、タンパク質を PVDF 膜に転写し、PTMtrue™ 抗体[抗pY(品番: APY03)、抗SUMO-2/3(品番: ASM23)、抗ユビキチン(品番: AUB01)、抗アセチルリジン(品番: AAC01)]を用いて、濃縮プール中の特定のPTMを受けたタンパク質を検出しました。図1Aおよび図2Aに示すように、2種類の濃縮ビーズはどちらも、PTMを受けた標的タンパク質に対して、優れたプルダウン能力を示します。また、PTMtrue™ 抗体を用いて、pY および SUMO-2/3 濃縮プールから、複数のPTMを受けたタンパク質を検出することも可能です(図1B-D; 2B-D)。

 

 ヒートショック(43℃)処理/未処理の HeLa ライセートを PTM 濃縮ビーズ(品番: ASM24-BEADS)とインキュベートし、SUMO-2/3 標的タンパク質を濃縮した。PTMtrue™ 抗体を用いたウェスタンブロット解析により、SUMO-2/3 濃縮プールから、複数のPTMを受けたタンパク質(2B-2D)を検出した。

図2 ヒートショック(43℃)処理/未処理の HeLa ライセートを PTM 濃縮ビーズ(品番: ASM24-BEADS)とインキュベートし、SUMO-2/3 標的タンパク質を濃縮した。PTMtrue™ 抗体を用いたウェスタンブロット解析により、SUMO-2/3 濃縮プールから、複数のPTMを受けたタンパク質(2B-2D)を検出した。

まとめ

PTMのクロストークの研究には、2つの障害が存在します。1つは、PTMは多くの場合、準化学量論的な(モル比で少ない)レベルで存在するため、非常に特異的な方法で濃縮する必要があることです。もう1つは、プロテオミクス研究には、一般的に、インタクトなタンパク質の代わりにトリプシンで消化されたペプチドが用いられるため、多くの場合、1つのタンパク質アイソフォーム上に存在する複数の修飾の関連性が断たれてしまうからです。Cytoskeleton社では、内在性レベルのPTMタンパク質を検出し濃縮する、非常に特異的な PTM 抗体をご提供しております。

参考文献
  1. Minguez P. et al. 2012. Deciphering a global network of functionally associated post-translational modifications. Mol. Syst. Biol. DOI: 10.1038/msb.2012.31. 
  2. Beltrao P. et al. 2013. Evolution and functional cross-talk of protein post-translational modifications. Mol. Syst. Biol.DOI: 10.1002/msb.201304521.
  3. Allfrey V.G. & Mirsky A.E. 1964. Structural modifications of histones and their possible role in regulation of RNA synthesis. Science. 144, 559.
  4. Pazin M.J. & Kadonaga J.T. 1997. What’s up and down with histone deacetylation and transcription? Cell. 89, 325-328.
  5. Kim S.C. et al. 2006. Substrate and functional diversity of lysine acetylation revealed by a proteomics survey. Mol. Cell. 23, 607-618.
  6. Choudhary C. et al. 2009. Lysine acetylation targets protein complexes and co-regulates major cellular functions.Science. 325, 834-840.
  7. Ciechanover A. et al. 2005. Proteolysis: From the lysosome to ubiquitin and the proteasome. Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 6, 79-87.
  8. Hay R.T. et al. 2005. SUMO: A history of modification. Mol. Cell. 18, 1-12.
  9. Minguez P. et al. 2012. PTMcode: A database of known and predicted functional associations between post-translational modifications in proteins. Nucleic Acids Res. 41, D306-D311.
  10. Lu Z. et al. 2011. Bioinformatic analysis and post-translation modification crosstalk prediction of lysine acetylation.PLoS ONE. 6, e28228.
  11. Swaney D. el al. 2013. Global analysis of phosphorylation and ubiquitylation crosstalk in protein degradation. Nat. Methods. 10, 676-682.
  12. Yao Q. et al. 2011. SUMOylation-regulated protein phosphorylation, evidence from quantitative phosphoproteomics analyses. J. Biol. Chem. 286, 27342-27349. 
  13. Mertins P. et al. 2013. Integrated proteomic analysis of post-translational modifications by serial enrichment. Nat. Methods. 10, 634-637.
  14. Su Y.-F. et al. 2012. Phosphorylation-dependent SUMOylation of the transcription factor NF-E2. PLoS ONE. 7, e44608.
  15. Hart G.W. et al. 2011. Cross talk between O-GlcNAcylation and phosphorylation: Roles in signaling, transcription, and chronic disease. Annu. Rev. Biochem. 80, 525-858.
  16. Wang Z. et al. 2008. Cross-talk between GlcNAcylation and phosphorylation: Site-specific phosphorylation dynamics in response to globally elevated O-GlcNAc. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 105, 13793-13798.

PTMtrue™ 抗体

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Anti Acetyl Lysine,  (Mouse) , 3C6.08.20詳細データ CYT AAC01 200 UL
[2 x 100 μl]
¥105,000
Anti Acetyl Lysine (Trial size),  (Mouse) , 3C6.08.20詳細データ CYT AAC01-S 25 UL
[1 x 25 μl]
¥30,000
Anti Phosphotyrosine,  (Mouse) , 27B10.4詳細データ CYT APY03 2*100 UL
¥105,000
Anti Phosphotyrosine (Trial Size),  (Mouse) , 27B10.4詳細データ CYT APY03-S 1*25 UL
¥30,000
Anti Phosphotyrosine,  (Mouse) Horseradish Peroxidase, 27B10.4詳細データ CYT APY03-HRP 1*100 UL
¥120,000
Anti Phosphotyrosine (Trial Size),  (Mouse) Horseradish Peroxidase, 27B10.4詳細データ CYT APY03-HRP-S 1*25 UL
¥38,000
Anti SUMO-2/3,  (Mouse) , 12F3詳細データ CYT ASM23 200 UL
[2 x 100 μl]
¥105,000
Anti SUMO 2/3 (Trial Size),  (Mouse) , 12F3詳細データ CYT ASM23-S 25 UL
[1 x 25 μl]
¥30,000
Anti SUMO-2/3,  (Mouse) , 11G2詳細データ CYT ASM24 2*200 UL
¥107,000
Anti SUMO-2/3 (Trial Size),  (Mouse) , 11G2詳細データ CYT ASM24-S 1*150 UL
¥38,000
Anti SUMO-2/3 Affinity Beads,  (Mouse) , 11G2詳細データ CYT ASM24-BEADS 800 UL
[2 x 400 μl]
¥155,000
Anti Ubiquitin,  (Mouse) , P4D2詳細データ CYT AUB01 2*100 UL
¥105,000
Anti Ubiquitin (Trial size),  (Mouse) , P4D2詳細データ CYT AUB01-S 1*25 UL
¥29,000

ライブセルイメージングプローブ

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Cytoskeleton Kit (SiR-Actin + SiR-Tubulin)詳細データ CYT CY-SC006 1 KIT
[50-300 slides]
¥249,000
SiR-Actin Kit詳細データ CYT CY-SC001 1 KIT
[50-300 slides]
¥150,000
SiR-Tubulin Kit詳細データ CYT CY-SC002 1 KIT
[50-300 slides]
¥150,000

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