
近年、Mozaffarul Islam らによって、頭頸部癌の転移に関する知見を得ることを目的として、頭頸部扁平上皮癌 (HNSCC) における RhoC 活性化の根底にある分子メカニズムの検討がなされました。RhoC は、HNSCC を含む多くの種類の癌で恒常的に活性化されており、RhoC の活性化は腫瘍の進行、浸潤、転移と相関します。従って、RhoC 活性の制御メカニズムを理解することは、HNSCC やその他の癌を管理、治療する上で非常に重要であると考えられます。筆者らは、初代培養細胞、HNSCC 細胞株、初代 HNSCC腫瘍細胞において、microRNA-138 の発現が、活性化 RhoC量(又は腫瘍中のトータル RhoC mRNA 量)に反比例することを見出しました。これらの発見から、microRNA-138 が、RhoC の発現及び活性化を下方制御する、という結論が得られます。さらに、microRNA-138 の過剰発現は、ストレスファイバー形成の減少、及び RhoC 下流エフェクターの活性低下と相関します。この研究において、活性化した RhoC*を定量化するために、Cytoskeleton 社の G-LISA® 活性化アッセイキット(品番: BK124)が使用されています。これらの結果から、RhoC GTPase が、頭頸部扁平上皮癌において重要な役割を果たしていることが示されました。
*市販のRhoC 抗体で部分的に修飾