
Vshivkovs による培養白血球
原発性硬化性胆管炎(PSC)は、肝移植以外に治療選択肢のない不治の肝疾患です。近年、J.H. Tabibian らによって、この疾患に伴う胆管細胞の老化に関与する分子経路の研究が行われました。PSC は、肝内および肝外胆管の炎症や硬化を特徴とします。細胞老化に NRas を含む Ras タンパク質が関与することが良く知られており、筆者らは、胆管上皮に由来する胆管細胞を用いて、胆管細胞の老化における NRas の発現および活性化レベルを検討しました。PSC 患者の肝臓においては、N-Ras 発現が上昇しており、共焦点免疫蛍光顕微鏡で測定される Ras の活性化と相関が見られました。同様に、リポ多糖(LPS)によって胆管細胞の老化を誘導した in vitro 細胞培養モデルにおいて、N-Ras 活性の上昇が見られました。
Cytoskeleton(サイトスケルトン/CYT)社の Ras 活性化アッセイキット(品番: BK008)は、N-Ras 抗体を使用して活性化 N-Ras を特異的に検出します。本キットを使用して、老化の誘導因子として知られる N-Rasが、胆管細胞の老化および PSC 病態形成に関与し、新規治療ターゲットとなる可能性が示されました。