
近年、B.H. Choi らによって、suprafenacine と呼ばれる新規有糸分裂阻害剤が、微小管を不安定化し、G2/M 期で細胞周期を停止させ、アポトーシス細胞死を誘導することが報告されました。in vitro での細胞増殖およびチューブリン重合の阻害活性に基づいて In silico スクリーニングを行い、数種類の新規抗癌剤候補分子を同定しました。構造活性相関を解析し、類似体の合成を行いました。類似体の一つである suprafenacine は、in vitro において、複数の腫瘍タイプで癌細胞特異的に作用し、最も強力なチューブリン重合阻害活性(IC50 = 0.38 mM)を有しています。suprafenacine は、重合の核形成および成長の両方を阻害し、定常状態のポリマー量を減少させます。ビオチン化チューブリンを用いた競合法によるシンチレーション近接アッセイにより、本阻害剤が、(タキソールやビンブラスチンではなく)コルヒチン部位に結合し、コルヒチンとは結合様式が異なることが示されました。これらの結果から、 suprafenacine は細胞透過性を有する微小管不安定化剤であり、抗癌剤を設計・合成するためのリード化合物となり得ることが示唆されます。
本研究では、In vitro において、suprafenacine がチューブリン重合に与える影響を検討し、本阻害剤のチューブリン結合部位を明らかにするために、Cytoskeleton(サイトスケルトン/CYT)社の蛍光チューブリン重合アッセイキット(品番: BK011P)、ビオチン標識チューブリン(品番: T333P)が使用されています。